18 ページ19
貴方side
横の扉からグルッペンも出てくる。彼と腕を組んで祭壇の所まで歩くのだ。
周りは思った以上に驚いている。…やはり懸念していた事が当たってしまった様だ。
「あの方が総統夫人か？」
「幼いな、まだ子供じゃないか。」
「何でもある国の王女様らしいが…。」
こんな時になって周囲の声が耳に響く。耳障りで煩い、苛々する。
その時、彼が隣から小さく声を掛けてきた。
Gr「…何だって好きに言わせておけば良い。お前は俺が選んだ唯一の妻だ。」
彼にそう言われたおかげか、周囲の声は耳に入らなくなった。
…そうか、そうだよな。こんな些細な事を一々気に掛けてる様じゃ駄目だ。
背筋を伸ばして、前を見据える。堂々としていなくては、それこそ笑い者だ。
祭壇の前に立ち、二人で向かい合う。神父様が厳かに口を開いた。
「グルッペン·フューラー。貴方は健やかなる時も病める時も、永遠の愛をA·ピオーニアに注ぐ事を誓いますか？」
彼は余裕を含んだ様な笑みを浮かべて、私の目を真っ直ぐに見詰めた。
Gr「あぁ、誓おう。」
次は私の番になるな。…誓いの言葉を告げる時、姓も一緒に告げられる。
今はまだ私の姓がピオーニアだから、ピオーニア王国の王女だって事がばれただろうな。
…彼奴等はこの式に招待してないから、別に大丈夫だと思うけれど。
「A·ピオーニア。貴方は喜びの時も悲しみの時も、グルッペン·フューラーを支え、尽くす事を誓いますか？」
正直に言って、まだ夫婦になると言う実感は湧かない。それでも確かに彼は優しく接してくれた。
私に生きる希望とやらをくれたのは、紛れもなく彼だったから。
『はい、誓います。』
これで誓いの言葉は終了。正式な関係となり、私がピオーニア王国の人間じゃ無くなる。
「それでは、指輪の交換を。」
輪の部分は銀と金が混じりあっており、宝石はブラックダイヤモンドを使用してあるこの指輪。
黒色は彼の色でもあり私の髪色でもあるから、と二人で選んだ指輪だ。
互いの薬指に指輪を嵌めると、それはぴったりと指に嵌まった。
「それではベールを上げ、誓いのキスを。」
彼との目線を合わせると、ゆっくりとベールが捲られていく。
はっきりと見える様になった、彼の赤色の瞳。その瞳を見詰めていると、彼はフッと笑みを溢した。
三秒程、唇に感触があっただろうか。彼は余裕そうに微笑んで顔を離した。
少しして神父様は口を開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rie(プロフ) - シベリア送りにすんぞさん» そんなに満足して頂けるとは…！此方こそ見て下さってありがとうございます。 (2022年4月1日 9時) (
レス) id: 61911b08f5 (このIDを非表示/違反報告)
シベリア送りにすんぞ(プロフ) - 映画のような満足感がありました！神作を作ってくださりありがとうごさいました…！ (2022年4月1日 1時) (レス) @page22 id: 2d0c104609 (このIDを非表示/違反報告)
rie(プロフ) - 狐の巫女さん» そう言って貰えると嬉しいです！これからも執筆を頑張りますので、良かったら応援して下さい！ (2022年3月31日 19時) (レス) id: 61911b08f5 (このIDを非表示/違反報告)
rie(プロフ) - ロクロさん» ありがとうございます！他の作品も良かったら見ていって下さいね！ (2022年3月31日 19時) (レス) id: 61911b08f5 (このIDを非表示/違反報告)
狐の巫女(プロフ) - 完結おめでとうございます！案外ハマってしまった…(￣▽￣;)お疲れ様です！これからも応援してます(*^^*) (2022年3月31日 19時) (レス) @page22 id: 454b91df9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
