一瞬のことだった ページ9
善は急げ。
私は早速、教官に審判を頼んでらんらんと向かい合っていた。
因みに最初らんらんと会った時こいつ、ガチ泣きしながら簪を渡して来たぜ。
簪を女性に渡す=プロポーズ
流石に引いた。
トントンが間一髪で助けてくれたがあの恐怖はここ暫く忘れられそうにない。
まとも枠のらんらんが……ヤンヘレの仲間に！
それがショックでたまらなかった。
｢手加減無しで来やがれよ。｣
ht｢これ終わったら話、聞いてもらうからね？｣
｢えぇ……長くなりそうだからヤダ。｣
お互いに木刀を持って見合う。
教官が手を下げて、
｢始め！！｣
上げた瞬間。
私は奴の首に迷いなく木刀を振るった。
だが相手も分かっていたのか少しの動きで交わされる。
私はいつも相手から攻撃されるのを待つのだが今日は思い切って自分から行った。
なのに相手は完全に私の先の行動を読んでいた。
｢お前ら本当に動きが昨日と別人じゃん。前世の記憶でも思い出した？｣
ht｢少しかすってるかもね。｣
相手が膝を狙って剣を振るったのを逆に近づいて相手の肩を使って飛び避ける。
女性特有の体の柔らかさは相手と相性がとても良かった。こいつめっちゃ体固いから。
いつもと動きが違う相手に警戒してこちらも慣れていない刀ではなく剣の振るいをする。
ht｢やっぱりAは、喪うには惜しすぎるよ。｣
ht｢こんなに俺は本気なのに、お前は知らないフリして酷い話だよな。｣
｢はっ？｣
あまりにも、一瞬だった。
一瞬すぎた。
瞬きしている頃にはもう終わっていて、敗因は何かさえも分からなかった。
気づいたら手が軽くなっていて、遠くに木刀が地面に刺さっているのが見える。
飛ばされたのだと理解するのに時間は要さない。
ht｢簪だって本気なんだよ？｣
視界に広がるのは軍服。
脳に刺激を与えるのはひとらんらんの懐かしく安心する匂い。
私、彼に捕まった？
コイツに、ひとらんらんに負けた？
今まで勝った事はあったけど、負けた事なんて無かった。
なのに、なのに何も分からないまま負けた？
｢え、は？あ、あたし……ま、負けた？｣
ht｢うん、そうだね。お前は俺に負けたんだよ。｣
｢あ、ぇ……？そ、んな、｣
私は無個性だ。だから周りと差が出来ないようこれだけは頑張ってたのに。
女を捨てる気で我武者羅に努力した。頑張った。
なのに、なのにこんな呆気なく負けた……？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 777人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - やみかんじるすき (9月2日 20時) (
レス) @page39 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
バツマルくん大好き(プロフ) - こんな展開になるんですね！初コメ失礼します！ (8月14日 3時) (レス) @page27 id: 7609bdf14d (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - d!様ヤンデレ尊い(遺言) (8月13日 12時) (レス) @page24 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
ロア……のスマホ版のようだ - とっても面白いと思います！あともう気付いているかもしれませんが、顔面が画面になっています。ページ二十ーの終わり十五行ら辺です。とても面白いです！これから応援します！次の最新楽しみに待っています！ (8月11日 19時) (レス) @page21 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
役 - 一気読みしました！続きが気になるところ！！！主の性格もＤ！様のヤンヘラ表現も最高です！！！！！ (8月10日 22時) (レス) @page16 id: d3098ec589 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見酒 | 作成日時：2023年8月8日 7時
