ニイ・クヴァロフスカヤという人間 ni_side ページ15
ni_side
グルッペンは俺に言ったように「俺はこの国を軍事国家に変える」と嬢ちゃんに話していた。
ちなみに俺はゾムが居た天井裏に潜んで聞いている。盗聴とかではない、決して←
『…この国を軍事国家に変えるのなら…絶対にワイエト連邦のような国にはしないでちょうだい』
ワイエト連邦…。随分と懐かしい名前が出てきたな。
4年の栄光事件に出てきた拷問官は俺だが、生憎軍に追われる身になってしまった。だから武器商人になり、今では各地を転々と移動している。
拷問官をやめて逃げ出したのも、全ては御国の為とやってきた行為……人が苦しむ絶叫を聞き、情報を吐かせるだけ吐かせた後に殺すここまでの一連の行為を楽しいと感じてしまった自分が怖かったからだ。
だから15歳から始まった拷問官の生活を19歳になった時にやめて逃げた。大尉なんて階級も正直自分には要らない。
正確にはワイエト連邦では5歳で少年兵養成学校に男女隔てなく強制入学させられ、10歳になった時に士官学校に男子のみ進級する仕組みになっている。
士官学校を15歳で卒業した後は民間企業か軍人になるのがあの国では普通だった。
故に、初めにグルッペンから「この国を軍事国家に変えるという理想を持っている」と聞いた時、またワイエト連邦のような国が増えるのかと思った。
だが、彼の灰色の瞳に残虐性は感じなかった。加えて嬢ちゃんが婚約者と来たもんだ。
彼女はきっと彼のいいストッパーになってくれる。
現に彼女はグルッペンに『ワイエト連邦のような国にはするな』と言っているしな。
gr「勿論だ」
そしてそれをグルッペンは了承した。
きっと彼らならば、より良い国を作ってくれる。直感的にそう思った。
『ニイ・クヴァロフスカヤは…きっと優しい人間なのでしょうね』
gr「あぁ、…優しいからこそ耐え難い苦痛だったのかもな。戦争も拷問も、人を変える」
…なんやねん、お前らガキの癖に。
頬を伝った雫は、星屑のようにキラキラと輝いていた。
ずっと望んでいた平和を噛み締めながら、その場を立ち去った。
・
▶兄さん
▷ニイ・クヴァロフスカヤ
ワイエト国民社会主義連邦、出身。両親は既に戦死している。階級は元大尉。
軍内では凄腕の拷問官で上官からも讃えられていた。
だが、拷問を、人を殺すことを楽しみだした自身に恐怖を覚え、19歳の時に国外逃亡した。通称4年の栄光事件。
現在では無国籍で武器商人として各地を転々としている。
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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます！無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください！ (9月10日 2時) (
レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです！ (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(？) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁！って主張してるのがかわいくて好きです！！！応援してます！！初コメ失礼しましたー！！！ (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…！！！嬉しいお言葉すぎるｯｯｯ…！！！！(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アホの子 | 作成日時：2023年8月22日 1時
