悲哀の映る瞳 ページ18
『…な、なに…？』
自分の口からやっとのことで出た言葉は随分と気の抜けたものだった。
gr「…いや、なんでもないゾ…」
なんでもない、っと言う割に手を離してくれそうにない彼に対し、首を傾げたのは言うまでもない。
彼の綺麗な切れ目の中に閉じ込められた灰色の瞳に映る私は、まさに困惑と言っている表情だった。
……白かった瞳も、人生をやり直してから随分と黒く濁ってしまっている。私の瞳ってもしかして極東にあると言われている墨汁でも垂らしたのかしら…？(疲労困憊)
zm「……A、居なくなってまうん…？」
kn「おいコラ、ゾムｯｯ…！！」
コネシマがゾムを肘でド突く。
やっぱり彼らは勘がいい。っというよりかは雰囲気から察する力が色々と凄い。
私は、本当に此処から居なくなりたいのかな…？
いや…仲を引き裂かれる方が怖い。感情移入はしないのが得策だけれど。……私は随分と彼らに毒されてしまっているらしい。
『……貴方達が望んでいてくれる限り、私は貴方達の傍に居るつもりよ』
gr「…………」
グルッペンの手に更に力が入る。ちょっと痛いのだけれど…。
それに眉間に皺が寄っているし、細まった切れ目が更に眼光を鋭くしている。
まるで「どこにも行くな」とでも圧を掛けられているような、そんな感じ。
ぐにゃりと顔を顰めた自分が、彼の瞳を伝って見える。
7年という年月はここまで自分を強欲にしてしまった。
『………できるだけ…ながく…
＿＿＿そばに居させてね…』
私の手を掴むグルッペンの手に自身の額を当てて、思ったよりも小さくなった自身の声を聞きながら、私はそっと目を閉じた。
返事が怖くて自分の手に力が入るような感覚がした。
いざとなったら逃げればいい、国外逃亡だって視野に入れている。
リア・アイシェルが来たらそっと自分が身を引けばいいだけなのだ。そう、ただそれだけ。
手放すも何も無い、元々私は傍観していただけなのだから。
gr「……勿論だ、ずっとここに居ろ」
やめて、そんな優しい声で望む言葉を吐かないで。
自分の上に影がかかり、グルッペンの額が自身の頭に触れる。
次に服が少し引っ張られ、自身の左側にぴったりと温かい何かがくっついた。恐らくゾムとコネシマだろう。
7年という年月を共に過ごした4人の少年少女は、この時間を噛み締めるようにそっと身を寄せあった。
・
暗めの話続きで申し訳ない((
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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます！無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください！ (9月10日 2時) (
レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです！ (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(？) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁！って主張してるのがかわいくて好きです！！！応援してます！！初コメ失礼しましたー！！！ (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…！！！嬉しいお言葉すぎるｯｯｯ…！！！！(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アホの子 | 作成日時：2023年8月22日 1時
