平和の定義 ht_side ページ21
血などの表現があるので苦手な方は1番下だけ見てください。
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ht_side
俺は初対面の人に何を言っているのだろうか。だなんて思う前に口から言葉が溢れてくる。
発端は何故この学校に来たのかという話からだ。
幼い頃から軍の訓練場で現役の軍人と共によく訓練をしていた。
全てはそこで才能を開花させてしまったのがいけなかったのだろう。
銃はまだ火縄銃なのに一丁前に戦艦を所有しているこの国の同盟国の応援軍として戦場にかけつけて戦線へ駆け出せば激しい爆発と銃声が鳴り響く。
刀身を振れば血液が空中を舞うし、地面を屍が埋め尽くせば屍を踏んで敵地へ突っ込む。
喉が焼けるような火の粉も、足を取ってくる血液の沼も、鼻を刺すような血と鉄の匂いも全て…そこが真の戦場であると俺に教えてくれた。
それから何度か戦場に出るうちに刀が上手く握れなくなった。
それを見かねた両親が俺をこの国に送って、今現在留学状態な訳だが…
俺は一体何を守るために人を殺して、屍を踏みつけて、他人と自分の血を全身に被っているのだろうか。
こんな才能も何も無ければ今頃、母国で平和に農業でもしていたのだろうか。
初対面の彼女にこんなことを言うくらいだ。
きっと自分はもう、限界で…誰かに話を聞いて欲しかったのだろう。
息がしづらくて、どうにも苦しい。
『……貴方は天才だ。だからこそ、自分の望むように息をすればいい』
彼女は随分と難しい言い回しをするらしい。『息』にはきっと多くの言葉が隠れている。
普通ならわからないはずなのに、何故か今はわかったような気がした。
開いた窓から風が吹き込み、彼女の真っ白な髪をサラり、サラりと揺らめかせる。
真っ直ぐにこっちを見ている真っ黒な瞳は不気味とは言いがたく、とても綺麗なものに見えた。
彼女の肌を照らす夕焼けは彼女の言っていることに肯定の意を示しているかのように柔らかく彼女と俺を照らしていた。
ht「……うん、聞いてくれてありがとう、A」
『なんでも聞くから、任せてよ』
彼女はふわりと微笑んだ。
此処は、息がしやすい。
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大和営帝国、出身。海軍中将の息子。
少年であるにも関わらず少尉の階級を所有している。
天性の才を持ち、武術において右に出るものは居ないがその才能に苦しめられていた。
戦場を見てから上手く刀を握れなくなり、そんな自分に息苦しさを感じていた。
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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます！無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください！ (9月10日 2時) (
レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです！ (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(？) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁！って主張してるのがかわいくて好きです！！！応援してます！！初コメ失礼しましたー！！！ (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…！！！嬉しいお言葉すぎるｯｯｯ…！！！！(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アホの子 | 作成日時：2023年8月22日 1時
