賑やかな食堂と逸脱者 ページ24
やっとのことで食事だと開け放たれた大きな扉を潜り、その奥に広がる大食堂を見渡す。賑わっているかと思いきや驚く程にその場は静かだった。
その賑わっているはず＿＿"だった"受験生達はある一点のみをチラチラと様子を伺うように視線をやっていた。
注目を浴びている彼は黙々と食事をとり、気づいているはずの視線をも無視して食べ進めている。
真っ赤な瞳に光に当たれば血のような赤色に変貌する黒髪。
瞳と同じ色のマフラーは彼の特徴の一つだ。
名前はトントン・シュヴァーリン、ワイエト連邦総帥の第二皇太子。
将来的にはグルッペンの右腕となる存在だ。
無能にはとことん厳しく、真面目で徹夜もする苦労人。
だが、反面声質は穏やかで優しく、怒らせなければ雰囲気も柔らかい。
『…今日はガッツリしたいものが食べたい気分なの。なにかオススメの料理、教えてくださる？』
思考は回らせつつもこんな静寂な中、私の婚約者は黙っていられないらしく、私がグルッペンに視線を送れば「早く食べよう」っと上機嫌に言ったため4人で注文しに行った。
彼ことトントンが周囲から異質なものを見るような目を向けられているのは確実にワイエト連邦の人間だからだろう。
そんな肩書きがなければ誰にでも好かれて、信用されるような優しい人なのに。
世の中とは凄く生きづらく出来ているらしい。
em「このお肉、美味しいですね。我が国にこんな美味しい料理は無いのでとても幸せです」
『文明は発達しているのに食を蔑ろにするなんて…普段どんな生活をしているの？』
em「一日分の栄養素が含まれたゼリー、もしくはクッキーのようなものを毎日食べてましたね。食事より研究が優先の国ですから」
gr「かと言っても上空を毎日のように黒い煙が闊歩しているのはどうかと思うゾ！」
em「だから今公害問題について話し合ってるんじゃないですか！」
gr「技術大国ともあろうエルメス連合帝国様がまだ対策を練られていないなんて…エルメスも落ちたもんだな」
em「はァ！？」
『流石にストレートすぎよ、グルッペン』
ht「ねぇちょっと…食事中なんだから落ち着けよ」
静かな食堂の中に談笑(？)する声だけが響く。
どうやら彼らも私も、1ミリも静かにするなんてできないらしい。
私達の声につられてかポツリポツリと話し出す声が聞こえだし、すっかり大食堂は話し声で溢れた。
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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます！無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください！ (9月10日 2時) (
レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです！ (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(？) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁！って主張してるのがかわいくて好きです！！！応援してます！！初コメ失礼しましたー！！！ (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…！！！嬉しいお言葉すぎるｯｯｯ…！！！！(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アホの子 | 作成日時：2023年8月22日 1時
