どうか騙されて em_side ページ36
試験監督の合図を聞き、相手が駆け出したのを視界に捉えつつも自身はその場で一歩も足を動かすことなく立ち尽くす。
レイピアは両手剣とほぼ同じ重さだ。
気を抜けば重さに全てを持っていかれるだろう。
ｱﾈｰﾛ「動かないのならこちらから先手をもらう！」
彼は宣言通り私に片手剣の剣先を向け、刺突攻撃を放ってきた。
そう、私が…いや、俺がここから一歩も動かないのは相手の動向全てを見通す為に過ぎない。
筋力で勝てないのなら洞察力と頭脳をふんだんに使う他に勝利方法など存在しないのだ。
em「私の知識量に勝てない限り、貴方に勝利はありません」
相手の刺突攻撃を避けた拍子にしたり顔で笑ってやる。
母国と違って、ここには自身の価値からくるものではない居場所がある。
＿＿母国であるエルメス連合帝国は世界的に見て最高峰の技術を誇る技術大国だ。
故に誰よりも優秀で無ければ居場所はない、誰よりも屈強な精神を持たなければ生きてすらいけない、誰よりも孤高で、人々を圧倒する功績が無ければ社会のゴミ屑になる。
そんな環境のなかで生まれた自分はこの臆病な性格からか、それともこの薄気味悪い虹彩のせいか、よく理不尽な扱いを受けていた。
特に虹彩の件での扱いは酷く、時には陰湿な方法で眼を潰されそうにすらなった。
だからか、成長するにつれてこの世の人間は気味が悪いと自分に好意を持って近づくことなどないのだろうなと、そう思っていた。
なのに、彼女＿Aの濡羽色の瞳は私の瞳を捉えた時、拒絶の色を見せないのだ。それはグルッペンやひとらんさんも含め、だが。
これは単なる思い違いか、自惚れかもしれないがそれが単純に嬉しかった。
それどころか友愛を持って接してくる彼ら、そして彼女が今では自分の居場所になってしまった。
故に守らなければならない。
知識という真価を持って、此処に自分が天道を超越した集団の一員であると刻み込む為に。
＿＿もう臆病な自分を殺さない為に。
・
▶エーミール・ハミルトン
エルメス連合帝国、出身。兵器開発部総長の息子で知識の申し子。
幼い頃から天性の才能を発揮し、活気的な発明を数多く発表してきた。
尚、それに反して友好関係は無い。乳白色の瞳のせいで時には目を潰されかけたこともあったそう。
それが記憶に色濃く残っているからか臆病な性格に拍車がかかるのに加えて容姿にコンプレックスを抱く。
彼にとって知識は自分を守る術である。
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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます！無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください！ (9月10日 2時) (
レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです！ (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(？) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁！って主張してるのがかわいくて好きです！！！応援してます！！初コメ失礼しましたー！！！ (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…！！！嬉しいお言葉すぎるｯｯｯ…！！！！(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アホの子 | 作成日時：2023年8月22日 1時
